ヨハネ・パウロ二世教皇からのメッセージ

教皇ヨハネ・パウロ二世から
              ジャーナリストへ

 私は、この機会をお借りして、皆様のジャーナリストとしての日々のお仕事を支持していることを表明し、崇高な理想を持ち続けられるようお願いいたします。

 報道においては、センセーショナリズム (扇情主義(せんじょうしゅぎ)は、故意に聴衆・大衆の感情を煽り、掻き立てるようなやり方で、注目・関心を浴びたり、思い通りの方向に動かそうとする手法のこと。主に、政治家やマスメディアの報道、企業のマーケティングに対して用いられ、批判の対象とされる。) を求めず、世論を支配せず、人々の態度決定を操ることなく権力のための権力を求めず、むしろ、あなた方やあなた方の子供たち、さらにはすべての子供たちが、人間としての尊厳を持って生き、希望の何たるかを体験するような世界共同体の建設を目指し、一人一人の存在を大切にする愛と真実を求めなければなりません。

 あなた方は現代社会の中ではまさに大きく計り知れない力を手中にしています。
しかし、この力は民衆に属するものであることを忘れてはなりません。神から造られたすべての物と同様、この力は普遍的な目的を持ち、あらゆる人の善に役立つものです。

 したがって、あなた方は民衆の力の管理者であり、かれらの幸福への奉仕者です。それは実に偉大で輝かしい任務だと言えます。

 しかし同時に、正しい姿勢と、絶え間ない献身、民衆に対して責任を明らかにすることが求められています。私は、あなた方が民衆の幸福のため、社会の改善のため、人類家族の一致促進のため、献身的な努力を続けられますようお願いいたします。

(1981年2月25日 広島)   1981年6月10日 教皇様の声 第14号より