⑧イエズスの右前足 ぷふっ

(C)箱舟の聖母社

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イエズスの右前足

1592年 クリスマス 12月25日である。

未明の深夜0時からはじまったクリスマスミサは、この年、有馬につれてこられた高麗人捕虜達のほとんどが来た。有馬中の人が来ているといえる。聖堂の中に入れる人数は限られている。シストとカタリナは他の高麗人捕虜と外でミサを聞く。彼らの熱心さは、まだ洗礼を受けていないにもかかわらず、燃えるようだ。ミサのはじめに、赤ちゃんのイエズスのご像をささげもったパードレが、外に出てきて、一番遠くのはしから行列をはじめてくれた。だから、シストもカタリナもかわいらしいご像を見ることができた。

カタリナ
「かわいいわ。かわいいわ。ね。あなた。ね。」

シスト
「うん。かわいいね。」

お昼になっている。シストとカタリナは、家の人々とご馳走を準備した。家の主人の先唱で食前の祈りが唱えられる。日本にきて6ヶ月近くになる。シストとカタリナには家の人の話がもうほとんど聞き取れる。話もかなりできる。高麗の人々が、日本語を非常に早く習得するので、司祭たち、修道者たち、同宿たちは、皆、驚いている。今も日本語だ。

家の奥さん
「カタリナ、はじめてのクリスマスの真夜中のミサはどうだった。」

カタリナ
「赤ちゃんのイエズスさまのご像が目の前を通ったの。かわいかったわ。ぷくぷく、やわらかそうな、かわいい、右前足が、目にやきついているわ。」

うっとりとカタリナは話すが家の人たちはぷっと吹き出して腹を抱えて笑い出す。しばらく笑いが止まらない。カタリナが言いたかったのは、赤ちゃんのイエズスの交差した、前に出された方の右足なのだ。外で大きな声がする。ルイスだ。

ルイス
「クリスマスおめでとう。」

皆、大喜びでルイスを出迎え、上にあがらせ、食卓につかせる。シストとカタリナが、この家に来てから、ルイスは旅から旅の間には、必ずこの家に訪ねてきてくれる。

ルイス
「楽しそうだね。」

子どもたち
「だって、カタリナが『イエズスの右前足』っていうんだもの」

カタリナ
「キャー。そんなことばらさないで」

この家の子どもたちとの会話がシストとカタリナの日本語会話の上達をなおさらはやめているのだ。子どもたちはシストとカタリナになついてしょっちゅう話かける。子どもたちが一番の先生だ。ルイスは子どもたちから聞く右前足の話に大笑いした。

5年前に秀吉が禁教令を出している。司教、修道士たちは、目立たぬようにしており、にもかかわらず各地の教会、修道院が次々に破壊されてきている状況で、今や、日本人同宿たちが全国の信者の世話に以前にまして大活躍している。それで、ルイスも有馬にはほとんどいない。ルイスは、有馬の出身でキリシタン武士の子弟だ。優秀な子だったので選ばれて、セミナリヨの第一期生として入学した。ポルトガル語ラテン語、論理学、哲学、神学をたたきこまれたエリートで、あらゆる司祭に仕え、通訳として同行し、名だたるキリシタン武将たちとも、皆と親しく交わっている、すごい同宿なのだ、遠い道のりも、短日時で行き来してしまう。道なき道も迷うことなく、どんどん進む。変装の達人で、名前もいっぱいもっている。まるで忍者のようなところがある。イエズス会の根拠地、この有馬と地方の信者を結ぶ人間だ。そのルイスが、シストとカタリナに、初めてあった時から何かしら特別にひかれている。シストとは同い年だとわかった。二人とも1570年生まれ。カタリナは1575年生まれだ。あの時、パードレもパウロも感じた、何かこの若い二人の夫婦は内面に素晴らしいものを持っていると、それが何なのか見つけていきたい。

二人に対する興味がルイスを二人に接近させ、愛着させる。





2008年5月11日 UP
著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ
(C) 箱舟の聖母社



〒012-0106
秋田県湯沢市三梨町字清水小屋14
箱舟の聖母社

 電話・FAX: 0183-42-2762
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⑦ちっちゃいままでいなさい

(C)箱舟の聖母社

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ちっちゃいままでいなさい

この教理の説明の時間が終わると、シストはカタリナの手を引いてパードレに一言いいにいく。

シスト
パウロ、通訳して欲しいんだけど。」

パウロ
「ああ、いいよ。」

シスト
「パードレ、僕が天才だっていうことは、決してありません。それに、僕たち夫婦が特別な夫婦だっていうことも絶対にありません。」

シストの顔は真剣で、真実に自分たちを低くみているのが分かる。その真剣さは、変わらないが、目が今、遠くの一点を見る。そして、

シスト
「でも、高麗の人々が、工夫することにおいて、 天才のようにひらめくのは世界一です。」

パードレは通訳のパウロの言葉を黙って聞き、さらにしばらく黙ってシストの言葉を吟味する。さきほどパードレは、小さい子のように単純で素朴なこの二人がそれにもかかわらず、絶対理解不可能な奥義と呼ばれることがらについて、それでも何とか自分なりにとらえてみようと、しばらく、真剣に沈黙し、自分なりに工夫して、ひらめきによってとらえたのを見た。もう3ヶ月も高麗人捕虜達に教えているパードレは、他の高麗人達も、同じように、シストの言う「工夫することにおいて、天才的なひらめき」を示すのにうれしい驚きを味わってきた。

パードレ
「私の子ども達、シストとカタリナ、私もそう思います。でもいつまでも謙遜でちっちゃいままでいなさいね。今のようにね。」

シストとカタリナは、本当にパードレをしたっている。親に対する子どものように、心をひらいて思っていることを素直に話す。パードレは、それだからますます「父の心」を刺激されるのだ。

「工夫することにおいての天才的ひらめき」が、技術的分野で発揮されてきたからこそ、シストとカタリナは高麗から連行されてきたのだ。これからシストが日本に伝える大規模高能率の精錬技術は、鉄鍋が大きいことによる技術革新ではない。なんとシストが伝え、石見銀山、院内銀山を世界一の産銀量にするのは、今で言う反射炉なのだ。

とにかく、数千人もの洗礼を準備中の高麗人捕虜達は、真理をとらえ、みとめ、信じるために彼らの民族的「工夫することにおいての天才的ひらめき」を最大限に用いてまわりのスペイン人、ポルトガル人、日本人のキリシタン達を驚かせつつある。

ここでカタリナが何か聞きたそうにする。パードレが目で促す。

カタリナ
「あの、パードレ、ちっちゃいことっていいことなの。私、ちっちゃいままでいなさいなんてはじめて言われたわ。」

この質問にパードレの顔はますます「お父さん」のようにやさしくなる。

パードレ
「おう。愛する私の子どもたちよ。天国はちっやい子になってはじめて入れるところなのですよ。」


パウロの通訳つきなので、パードレは区切り区切り話す。カタリナがこの言葉をきいて目をまるくして思わず。

カタリナ
「まあ、本当に」

と聞き返すのがおかしい。パードレは、ニコニコ微笑む。

パードレ
「本当ですよ。イエズス様が『幼子のようにならなくては天国に入れない』と教えてくださったのです。きなさい。」

パードレが、二人を脇の祭壇、マリア様の祭壇に連れて行く幼いイエズス様を抱いたマリア様のおかれた祭壇である。

中央の立った人のももの高さには、アルファベットのAとMの組み合わせ文字がある。

パードレ
「誰でもみんなマリア様の子どもです。これからあなた達は自分をまだおっぱいを飲んでいる小さな子どもと考えて、マリア様を自分の本当のお母さんとして、何でもお話するのですよ。そうしたら、マリア様によって幼子にしていただけます。」

パードレは、シストとカタリナが夢中になってマリア様の像を見ているのを、横から見つめる。カタリナの視線はどうやら胸に抱かれている。幼いイエズス様に言っているようだ。

パードレ
「カタリナ。ちっちゃい子のように、遠慮なく何でもマリア様に話してごらん。さあ、何をお願いしてもいいんだよ。さあ。」

カタリナ
「何でもいいの。パードレ。」

パードレ
「いいよ。カタリナ。」

カタリナ
「マリア様、赤ちゃんをちょうだい。

シストの顔が真っ赤になった。パードレが、二人に祝福を与える。





2008年5月11日 UP
著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ
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⑥1592年10月有馬

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⑥1592年10月有馬

有馬のどの家にも、あとからあとから連行されてきた高麗人がいる。有馬だけではない。キリシタン大名の治めるところでは、大村も天草も長崎も五島も同じように捕虜達が民家に分宿させられている。

イエズス会は、1566年から高麗への宣教を望んできていた。ヨーロッパ人は、遠い先を見て、用意周到に準備をする頭の持ち主である。日本の宣教のために1580年に有馬にセミナリヨをつくり、10才前後のキリシタンの子弟を入学させ、将来の同宿、修道士、司祭の養成をはじめると、日本生まれの高麗人のキリシタンの子弟も入学させ、高麗への宣教の準備をはじめたのだ。有馬には、パウロの他に何人かの高麗人同宿がいるが、今、彼らは、何千人もの高麗人の捕虜にカトリックの教理を教えるために、あちこちによって大わらわで働いている。

その何千人もの高麗人捕虜の中でもシストとカタリナはパードレたち、修道士たち、同宿たちの間で有名人になってしまっている。一体なにがあったのだろう。実は、こんなことがあったのだ。

イエズス会は上記の理由で、高麗人たちに熱烈に信仰の教育をほどこし始めた。シストとカタリナは、農家の一家と一緒に農作業をして過ごしているが、日曜日は高麗人たちのほとんどは、セミナリヨへ行く。そこで、パウロの通訳つきでパードレから、または、パウロから教理をならっている。

ある日のこと・・・・。パウロが通訳している。

パードレ
「神は唯一です。唯一の神には三つのペルソナがあります。父と子と聖霊です。これを三位一体といいます。三位一体は人間の頭では絶対に理解できません。ただ、これをこのまま信じるのですよ。」

その時、パードレの目に、お気に入りのシストの顔が飛び込んだ。

パードレ
「私の子よ、シスト。父と子と聖霊は別々の方なのですよ。なのに神は一体だなんて、信じなさいと言われても信じられますか。」

真剣にシストは考える。パードレは、しばらくシストの返事をまつ。ニコニコしながら。

シスト
「パードレ、わからないけど、信じたいから信じます。」

パードレ
「そう、そう。よし、よし」

パードレは、この返事に満足してうなずく。

シスト
「パードレ、これは僕が金と銀と銅を一つの石からとるのとにているなあと思ったんです。一つの石で、何のへんてつもない石に見えます。でも、その一つの石の中にちゃんと金と銀と銅がある。吹き分けたらちゃんと別々に取れるのですから。」

まず、パウロが驚きの叫びをあげる。パードレがパウロ

パードレ
「なに。なに。何をシストは言ったんだい。」

パウロ
「パードレ、聞いてください」

そして、シストの言葉を通訳する。パードレとパウロは顔を見合わせ、しばらく黙ってしまう。二人とも、三位一体について、こんなたとえを未だかつて聞いたことが無いのだ。もしかすると教会史上初の「三位一体の鉱石によるたとえ」かもしれない。やっとパードレが口を開く。

パードレ
「シスト、あなたは天才です。」

パードレは、となりにいるカタリナにも何か質問してみようと思った。

パードレ
「カタリナ、私の子よ。人間の五感では決してとらえられないけれど、ご聖体はパンではなくて、もうイエズス様になっています。人間の霊魂が永遠に生きるために、かたみとして与えて下さったのです。これも、また、分からなくても信じて認めなければなりません。それが出来ますか。」

カタリナも真剣な表情でしばらく黙る。それから悲しそうな声で話し出す。

カタリナ
「パードレ、私のお父さんが、私が連れて行かれる時に、これで長生きしてくれって、ニンニクを私に手渡したの。たったこれがお父さんの形見なの。神様は何でもできるでしょう。 永遠に長生きさせるために、ご自分を食べさせるしかなかったら・・・。 私も、もし私が何でもできる神様だったら自分を食べ物にして、 子どもにあげちゃう。何でもできる神様で、お父さんのようなイエズスが、 そうして下さったって、私、信じたい。」

カタリナは、お父さんとの別れのことを思い出して、目に涙があふれる。パードレは、感動し、パウロと、また、顔を見合わせる。お父さんのニンニクと、イエズスのご聖体を並べて考える子どもらしさの中にも、もし私だったらと自己を食べ物にしてあげちゃうという愛深い自己犠牲の宣言があったからだ。

パードレ
「私の子どもたち、あなたたち夫婦は、なんという夫婦だ」

パードレもパウロもこの二人の話を皆に伝えずにはいられなかった。もちろん聞いた人々も感動し、食事の時の話題にしたり、次の人に伝えたりと。こうしてシストとカタリナに会ったことが無い人々も、シストとカタリナの名と、この二人の返事のことについて知るようになったというわけだ。





2008年5月10日 UP
著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ
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⑤シストとカタリナの由来

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シストとカタリナの由来

 パードレは、「シスト」をシスト2世からとった。

 彼は、アテネ出身のギリシャ人だが、イタリアのローマで司祭になり、ローマ皇帝キリスト教徒への迫害のさなか地下教会の為に働き、ローマ司教、つまり、ローマ教皇になり、カタコンブと呼ばれる大地下墓地から信者を指導した。

 そして、このカタコンブの中でミサを行っている最中、密告により皇帝の軍隊に踏み込まれ、そこで首をはねられるというドラマチックな殉教をとげた。

 そして、又、パードレは「カタリナ」をシエナの聖カタリナからとった。
 彼女は、永遠の御父との対話と「涙の霊性」という泣きながらの祈りと嘆願の毎日を送ったことで、非常にユニークな聖女だ。
 彼女は、慈善家として大活躍し、多くの人に偉大な影響力をもった。
彼女に賛同し、彼女の活動を助けた人々は「カタリナの軍隊」と呼ばれた。

 パードレと二人の同宿は外国から来て鉱山で指導者になるということと、「お父さん、エーン、エーン、ヒック、ヒック、お父さん、エーン、ヒック、ヒック」と泣いていることだけで、シストとカタリナとあだ名をつけ、「ピッタリだ」と言っているのだが、三人は、シストがこれから、日本中の鉱山を結ぶ地下教会をつくりあげ、指導すること、その助け手として、カタリナが慈善の行いをもって奇跡的ともいえる成果をあげることを今のところ知るよしもない。

 武士達が出発を命令する。

ルイスは、鉄の大鍋を背負い、シストとカタリナといっしょに歩き始める。パードレとパウロは、歩き始めた、他の高麗の捕虜たちにも、慈しみ深く、慰めを与えるために、一人、又、一人と次々に声をかけ、話をし、話を聞いていく。

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 1592年7月、有馬である。武士達は有馬のキリシタン大名、ドン・プロタジオ有馬晴信(はるのぶ)の家臣だったのだ。

 捕虜達の第一陣は、日本におけるイエズス会の本拠地の有馬に連れてこられ、キリシタンの農民たちの家に分散して住まわされた。

シストとカタリナがルイスに連れられて一軒の農家に着いたところだ。

海が近い。

有明海だ。

 そして間近に迫る雲仙の高く大きな山体。

こんな南の地、しかも海のすぐ側でありながら、山頂は冬になると雪をかぶる。

 ここでも、また、夫はシスト、妻はカタリナとルイスから家人に紹介される。
 家の人たちが、二人の足を指さしている。

二人のはだしの足は、足首から下が赤く大きく腫れあがっているのだ。

 頬はこけ、シストのひげは伸び、カタリナの髪はほつれている。

7月といえば、もう暑い九州の道を、はだしで何日も歩きづめに歩いたのだ。
 二人は家の人の表情と声の調子から、大変に同情してくれているとわかる。

ルイス
「マリアさまとヨゼフさまを預かったと思って、この二人の世話をしてくださいね。
 この二人にしてあげることは、イエズスさまにしてあげることになるのですから。
 神があなたたちに豊かに報いてくださいます。」

家の主人
「ルイスさま、安心してください。イエズスさまに仕えるように、この二人に仕えますから」

ルイス
「シスト、カタリナ、またくるからね。」

ルイスが去ろうとする。二人はそれを見てあわてて言う。

シスト
「ありがとう ルイス」

カタリナ
「ありがとう ルイス」

ルイスが去った後の何という心細さ。二人はまだ日本語がわからない。

カタリナ
「あなた、着いたのかしら、もう旅は終わったの。」

シスト
「そうみたいだね。」

カタリナ
「わたし、立っていられない。」

カタリナは、着いたと思ったら、疲れがふきだしはじめたのだ。

足が棒のようにこわばっていたから、立っていられたのだが、今、しゃがもうとするとストンとおしりまでもついてしまい、それでも止められず横ざまに土の上に倒れてしまう。疲れで全身が痛む。もう立ち上がれない。

家の奥さん
「まあ、大変。なんてかわいそうなの。」

 家の人たちのキリスト教的兄弟愛が爆発する、一斉に皆がカタリナに駆け寄り、抱き上げシストと共に家に連れて行く二人は親切の大洪水に沈められる。





2008年5月9日 UP
著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ
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みんなが知ってる ちょ~ 有名な音楽家たち

2018年5月29日(火)AM7:59
マリアママ
ラフマニノフは天国にいますよ。
ブラームスが天国。
シューベルトも天国。
ヘンデルが煉獄。
ハイドンも天国。
ヴィヴァルディは煉獄。
煉獄の人は祈ってあげて下さい。
長いこといますので。
だれも祈ってません。

ドヴォルザークは天国。
スメタナも天国。
絵かきさんのことは、リトル・マグダレーナは知らないので。
楽家のことは知っているし、おぼえてほしくて、祈ってもらいたくて、それでいいました。」

ジャン・マリー
「これは、マリアママ、秘密?」

マリアママ
「公開していいですよ。
批判をうけるかもしれませんけど、それは問題ありません。」

マリアママ
「他に、天国はベートーヴェン
ショパン
リスト。
煉獄は、ヨハン・セバスチャン・バッハ
ロベルト・シューマン
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルトです。」

 

2018年5月30日
マリアママ「チャイコフスキーは天国にいます」

 

2018年6月4日のミサで
ロベルト・シューマン
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルトは天国へ行った。

「33年」著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ  反キリスト、ロード・マイトレイヤについての警告

 

33年(C)箱舟の聖母社

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あだ名

夫が、この人も偉い人だとみたルイスは、権威のある人のような顔と物腰だ。
しかし、そのルイスがさらにニコッと笑い、こう言う。

ルイス
「その鉄の大鍋を僕に渡せよ。もってやろう。
重いだろう、疲れているだろう。腹ペコだろう。」

こういいながら、もう鉄鍋を奪い取って背負ってしまった。
夫が、あまりのルイスの気さくさと親切にびっくりしていると、

ルイス
「この鉄鍋は、何の道具なんだい。料理のためかい。」


「これは、金や銀を鉱石から吹き分けるための、るつぼだよ。」

ルイスの示す親しさにのせられ、夫も親しい口調で答える。

ルイス
「えー!なんと、そんな技術を君は持っているのか。」


「僕は鉱山で働く精錬技術者なんだ。
ぼくが、すごい技術者っていうことじゃ決して無いよ。」

夫は謙遜に答える。しかし、祖国に対する誇りが
疲れきった顔に輝きを与える。


「でも、高麗の精錬技術は、世界一なんです。
ぼくは、それを日本人に教えるために連れてこられたんだ。」

高麗の精錬技術が、世界一というのは本当だ。中国式より大規模、
高能率の高麗式への切り替えにより、これからしばらく石見銀山
世界一の産銀量をほこることになる。それをぬいて次に世界一の
産銀量をほこることになるのが院内銀山であり、
彼の言葉は事実として証明される。

ルイス
「奥さんだね。その袋も僕によこしなさい。もってあげよう。」


「これは軽いからいいの。」

ルイス
「何が入っているの。」


「にんにく。お父さんが、これで長生きしてくれって、
泣きながら手渡してくれたの・・・」

この話題は、まずかった。妻は、泣き声になった。可愛がってくれた
大好きな父親を思い出し、十分に別れを惜しむいとまもない、
別れに、苦しみ嘆いた父の姿を思い出したのだ。
一度泣きやんでいた妻がもう一度泣きだし、


「お父さん、えーん、ひっく、ひっく、お父さん、えーん、ひっく、ひっく」

と、しゃくりあげて、とまらない。パードレが妻の方を見、武士たちとの話を
打ち切って、また、歩みより、妻をハグし、頬にキスし、頭をなでる。
でも今度はおさまらず、大きな声をあげて、


「お父さん、えーん、ひっく、ひっく。」

と繰り返しながら泣く、パードレにルイスが話しかける。

ルイス
「パードレ、この二人は鉱山の技術者で、この鉄の大鍋は、
金や銀を精錬する道具だそうです。世界一の高麗の技術を指導するために
連れてこられたそうですよ。」

パードレは、うなずき、目をみひらいて、驚いたという表情をつくる。
パードレは、とても目立つ、この若い夫婦が気に入ってしまった。
そして、早く親しくなろうと茶目っ気をだす。

パードレ
「鉱山の指導者になるのですね。二人に、あだ名をつけましょう。
鉱山は、カタコンブのような長い沢山の地下道があるでしょう。
そこで指導者になるから、この人のあだ名は、シスト。
それから、『お父さん、お父さん』と涙をずっと流しつづけているので、
あなたのあだ名は、カタリナ。お父さんが子どもに名前を付けるように、
あなたたちに名前をプレゼントしましたよ。」

ルイスとパウロ
「そりゃーいい、ぴったりだから絶対憶えられる。」

二人の同宿はパードレのユーモアに大喜びして賛成する。

ルイス
「もう、その名前でさっそく呼んじゃえ。な、シスト。ね、カタリナ。」

夫婦には、今は訳がわからない。あだ名でこれから呼ばれるとだけしか
わかっていない。しかし、この二人のあだ名は、まさに予言的に
これからの二人の活躍を暗示するものになる。「パードレは天からの
インスピレーションでこの名を思いつき、二人につけた」としか言えないほどだ。





2008年5月6日 UP
著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ
(C) 箱舟の聖母社




 

 

 

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「箱舟の聖母」5月31日号No.001より

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反キリスト、ロード・マイトレイヤについての警告
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   マリア様からの警告 1984年2月13日
       リトル・ペブルに(抜粋)

 私は、この世のすべての我が子たちに、今こそ正しい警告を
します。よくよく注意しなさい。
 人間をあざむくものがやって来ます。その者はこの地上に大
きな不幸と滅亡をもたらすことでしょう。彼こそは反キリスト。
ロード・マイトレイヤとは彼のことです。子らよ、絶対、彼に
従ってはなりません。彼こそは邪悪なる詐欺者、旧約で言われ
ていた、あのヘビです。彼は世界統一政府のもとに、世界統一
教会を設立し、世界征服をはかるものです。

(注)ロード・マイトレイヤはルシフェルそのものです。人間
となったルシフェルです。ルシフェルは地獄の悪魔の総大将で、
神に反逆し、サタンとなる以前は、天使の中で最高位の天使で
した。

「 33年 」  祖国韓国の救いの為に、命を捧げた二人    先祖シストとカタリナと 祖国韓国への愛を込めて

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「 33年 」  (C)箱舟の聖母社

− 400年の時を経て 今 明かされた
    シスト と カタリナ の 33年の闘いの真実 −

祖国韓国の救いの為に、命を捧げた二人。 

             その直系の子孫に託された希望 …

今、寺沢で続く聖母出現 ! 

    先祖シストとカタリナと 祖国韓国への愛を込めて
               

          渾身の力を込めて書いたシナリオ !

 

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(C)箱舟の聖母社


忠州湖の光る水面

忠州湖の光る水面。長く伸びる岬が見える。
月岳山が見える。
麓に村がある。
今は1592年の6月。
村中の人々が、広場に集まっている。
月岳山の鉱山役人と通訳者、そして日本の武士の一団が来ている。
何のために来たのか。皆、心配と恐怖で凍りついたようになっている。
精錬の仕事の親方の名が呼ばれる。
日本に連行されるのだ。


ナレーション
豊臣秀吉は、領土欲のけだものだけではなかった。金、銀への執着の化け物でもあった。この大悪魔は、先進精錬技術の技術者を求めた。」

親方の家族たちがすがり付いて泣き叫び始めた。
すぐ横に、若い夫婦が立っている。子どもはいないようだ。
十代半ばの妻の目から、たちまち同情の涙が次々にこぼれおちる。
二十歳を少しこえたくらいの若い夫は、目をつぶって何かを真剣に考え始めた。
ぱっと目をあけ、顔に決意をみなぎらせる。



「僕が親方の身代わりになって日本に行く」


大きな声がはっきりとひびく。
妻はびっくりして夫の顔を見つめる。目も口も大きく開けて。



「僕たちにはまだ子どもがいないよ。おまえ。」

この一言で妻は夫の考えを理解した。


「うん」

通訳がこれを武士達に伝えた。
鉱山役人が、彼は親方に劣らない優秀な技術者だと保証する。
武士達が相談する。結論は早く出た。技術が確かなら、
若い方がいいのだ。今後、長く働けるし、
日本語を直ぐに覚えられるだろうから。


武士の頭
「おまえ達だ。すぐに支度しろ。」


通訳が若い夫婦にこれを伝えた。



「おまえ、ついてきてくれるかい」


「うん。わたし、あなたを信じている。」


単純に自分を信じてくれる妻に、心から夫は言う。



「ありがとう」

武士達が待っているので夫が大急ぎで仕事場に行き、
たった一つ取ってきたのは鉄の鍋。
灰吹き法の「るつぼ」だ。
武士達は、若夫婦が途中で逃げ出さないように、腰に綱を結わえ付けた。
二人の顔は、真っ赤になる。何というはずかしめ。
犬のように歩かされて、生まれ育った村を村人全員の
目の前で連れ出されるとは。
夫は歯をくいしばり、妻の目からは、又、涙が落ちる。



テーマ曲が流れはじめる。

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2008年4月23日 UP
著者 ジャン・マリー神父・ソーンブッシュ・リトルヨハネ
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